社会保険労務士 須田事務所

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FAQ


労働条件


Q 残業代込みの年棒制の給与導入を検討しています。年棒額を14分割して、一部を賞与として支給する予定です。その場合の注意点と残業代の計算方法を教えてください。
A 年俸制であっても管理監督者に該当する場合等を除いて割増賃金の支払いが必要です。年俸にあらかじめ割増賃金を含めるには、年俸に時間外労働等の割増賃金が含ま
れていることを労働契約で明らかにする必要があります。明確な規定がないときは、割増賃金が含まれない年俸制とみなされてしまいますので注意が必要です。

また、時間外労働等の割増賃金部分と通常の労働時間の賃金部分とを区別し、その額を明確にすることが必要です。この区別が不明確な場合は、割増賃金を含む給与であることを否定されてしまいます。(判例)
つまり、何時間分で何円の割増賃金が含まれるかを明らかにしなくてはなりません。

そして、実際の残業時間で計算した割増賃金額が、年俸に含まれている一定額の割増賃金額を上回った場合には、その差額の支払いをする必要があります。

残業代の計算式は、1時間当たりの賃金×残業時間×1.25となり、1時間当たりの賃金は、一定額の割増賃金部分を除いた年俸の総額を1年間の総労働時間で割って算定します。

この場合、賞与として支払われる金額であっても、原則として残業代計算の基礎となりますので注意が必要です。

Q 定年後再雇用制度で嘱託契約締結することになりましたが、注意する点はありますか?
A 定年後の再雇用者の有期労働契約をめぐって、裁判で争われています。この事案では、定年前と同じ業務に従事していた嘱託社員が、正社員との間に不合理な労働条件の相違があるとして、労働契約法第20条に反し無効であるとして争われました。
1審判決は同条違反として原告の請求を認めましたが、2審判決では不合理とは認められないとする判断が示されました。2審判決では労働契約法第20条の適用について、有期契約労働者と無期契約労働者の間の労働条件相違が、期間の定めの有無に関連して生じたものであることを要すること、同条の適用範囲については、使用者が専ら期間の有無を理由として労働条件の相違を設けた場合に限定して解すべきではないとしました。
 労働条件の相違が不合理であるかどうかという点について、1審と2審の判断が分かれましたが、どちらの判決も@職務の内容およびA職務の内容および配置の変更の範囲が同一であることを認めた点では同じですが、1審は賃金について差を設けることは、これを相当と解する特段の事情がない限り不合理であるとしたのに対し、2審は諸事情を幅広く総合的に考慮して判断すべきとして点で異なっています。したがって、事案によっては、今回とは逆に、諸事情を考慮して不合理であるとして判断される場合もあり得ると言えます。また、本件事案では、賃金の減額がどの程度か、労働者の不利益緩和の措置として会社がどのような配慮、努力をしたかという事情も具体的に検討されていますので、定年後再雇用制度の有期労働契約締結の際には注意すべきです。

Q アルバイトを雇用したが、無断欠勤をしたので罰金取るつもりですが問題はありませんか?
A 賃金とは、労働の対価として支払うものですので、労働者が遅刻、早退、欠勤などによって不就労部分がある場合には、使用者は賃金をカットして支払わないことができます(ノーワーク・ノーペイの原則)
しかし、不就労部分の賃金控除は月給制の社員の場合であり、アルバイトなどの時給制の社員では当てはまりません。
この場合、労働基準法第91条(就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払い期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない)の適用が問題となります。
懲戒処分をするためには、@就業規則の根拠規定があることA懲戒事由に該当すること(合理性)B社会通念上の相当性を有すること(相当性)が必要です。
社会通念上の問題として、大手コンビニチェーンでアルバイトする高校生から罰金を取ったことが問題視され、返金したとの報道もありました。罰金を取るかどうか等の懲戒処分の適用に当たっては、できるだけ慎重に判断することが必要でしょう。

Q 遅刻、早退、欠勤について、これまで賃金しないこととなっていましたが、賃金控除でくることに就業規則を改訂して賃金控除を始めたが、問題はありますか?
A 使用者は、多数の労働者を雇用しており、指揮命令権は画一的なものとならざるを得ません。就業規則に労働者の就業に関して規定される事項は、使用者が就業規則を作成して、労働者に周知させることによって効力を持ちます。労働条件に関する事項は、その変更が合理的なものであれば、使用者は一方的に就業規則を変更して、その内容を改訂したり、廃止したりすることができ、効力はすべての労働者に及びます。
これに対して、遅刻、早退、欠勤の場合に賃金を控除せずに全額を支払って来たということは、これまでの慣例や当事者の個別の合意を根拠としていると言えますので、使用者が一方的に作成した就業規則によって、その内容を労働者の不利益に変更することはできないものと解されますので、変更に当たっては注意が必要です。

Q 無期労働契約への転換とはどういうことですか?
A 無期労働契約への転換とは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるというもので、平成24年の労働契約法の改正で第18条に規定されました。
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者からの申込みにより、無期労働契約に転換します。通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象ですので、平成30年4月以降に初めての転換がされることになります。
有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、その契約期間の初日から末日までの間に、無期転換の申込みをすることができます。無期転換の申込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約がその時点で成立します。無期に転換されるのは、申込み時の有期労働契約が終了する翌日からです。使用者が雇用を終了させようとする場合は、解雇する必要があります。この場合、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には、解雇は権利濫用に該当するものとして無効となります。
無期労働契約の労働条件(賃金、労働時間など)は、労働条件を変更することについての労働者と使用者との個別の合意がない限り、直前の有期労働契約と同一となります。なお、無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることは公序良俗違反で、無効とされます。

Q 平成28年10月からの社会保険の適用拡大となった対象者の条件は?
A 短時間労働者の適用拡大の対象者は、特定適用事業所(従業員501人以上)において以下の4つの条件にあてはまる方です。
@週所定労働時間20時間以上 A月額賃金88,000円以上 B雇用期間の見込みが1年以上 C学生でないこと (ただし、夜間、通信、定時制の学生の方は対象)
また、平成29年4月からは、従業員500人以下の会社で働く方も、労使で合意すれば社会保険に加入できるようになりました。
労使の合意とは、短時間労働者の方が社会保険に加入することについて、同意対象者(※1)の2分の1以上の同意を得た上で、事業主が、管轄の年金事務所および健康保険組合に申出することをいいます。
(※1) 厚生年金保険の被保険者である方々と上記@からCの要件を満たす方々
なお、同意対象者の過半数で組織する労働組合や過半数を代表する者がいる場合には、そうした方々の同意でも可能です。

Q 育児・介護休業法の平成29年1月1日改正点を教えてください。
A 1.介護休業は、これまで、対象家族1人について通算93日まで、原則1回のみでしたが、「3回を上限として、介護休業を分割して」取得が可能になりました。

2.介護休暇について、これまで1日単位での取得でしたが、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能になりました。

3.介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)について、「介護休業と通算して93日」の範囲内で取得可能であったものが、「介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上」の利用が可能になりました。

4.介護のため対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限(残業の免除)が新設されました。

5.有期契約労働者の方について、育休の取得の要件が緩和されました。
@ 申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
A子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと に緩和されました。

6.子の看護休暇について1日単位での取得から、「半日(所定労働時間の2分の1)単位」での取得が可能になりました。

7.育児休業などの対象となる子の範囲が、これまでの法律上の親子関係がある実子・養子から、「特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象」となりました。

8.いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置の新設
これまでの事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止ですが、これに加え、上司・同僚からの、妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務付けられました。
また、派遣労働者の派遣先にも、
 ・育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
 ・妊娠・出産、育児休業、介護休業 等を理由とする嫌がらせ等の防 止措置の義務付け
が適用されます。

Q 日によって所定労働時間が異なるパート職員について、所定労働時聞が2時間と8時間を交互に繰り返すような場合は、時間単位年休の1日の時間数は5時間ですが、所定労働時間が2時間の日に1日の年次有給休暇を所得する場合、日単位ではなく時間単位で2時間の年次有給休暇を取得するという取扱いは可能ですか?
A  1日の年次有給休暇を取得する際には、原則として時間単位ではなく日単位により取得するものとされています。時間単位年休は日単位による取得の例外として認められるものであり、1日の年次有給休暇を所得した場合には、原則として1日の年次有給休暇が取得されたものとして取り扱うこととなります。
 しかしながら、このような場合に1日の年次有給休暇を時間単位に取得させたとしても、これを違法として取り扱うものではないとされています。

Q 年の途中で所定労働時間数の変更があった場合、時間単位年休の時間数はどのように変わるのか。時間単位の端数が残っていた場合はどのようになりますか。   
A 時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されることとなります。
 例えば、所定労働時間が8時間から4時間に変更され、年休が3日と3時間残っている場合は、3日と3/8日残っていると考え、以下のとおりとなります。
【変更前】3日(1日当たりの時間数は8時間)と3時間
【変更後】3日(1日当たりの時間数は4時間)と2時間(比例して変更すると1.5時間となりますが、1時間未満の端数は切り上げ)